小島やよいのアートママ奮戦記

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A to Z 開幕! <レビュー編>


8月11日に、A to Z関連企画のレクチャーのため、再び弘前を訪れました。
今度は子連れでなかったので、一人でじっくり展覧会を観てきました。
といっても、やっぱり時間が足りない!
空港行きのバスに乗り遅れそうになりました…。
こちらも遅ればせながら、感想編です。


いくつかレビューを書いてるけど、繰り返しているのは
「時間をかけてみても、何度観ても、観足りない、
見落としているものがある気がする」こと。
空間も作品も、なんだか情報量がすごく多いのである。
44の小屋を巡っているうちに体感する、
吉井酒造煉瓦倉庫という空間と、奈良さんとの対話、grafとの対話。
奈良さんとgrafとの対話。
ボランティアとして一緒に作っている人たちとの対話。
ゲストアーティストたちとの対話。
そして、観客として出会う人たちとの対話。
その積み重ねが、圧倒的な「てんこ盛り」状態を作っているのだろう。

オープニングの時に知り合いと話していたら、
「まるで国際展を観ているみたいに、疲れるよね。一気に観られない」
という人が多かった。疲れるというのは、もちろん良い意味で。
それだけ充実した、密度の濃い展覧会体験を、
最近してなかったことを思い出した、というような。

小屋が建ち並び、灯りが点いている通りを歩きながら窓の中をのぞき、
ベンチに座る。小屋は、平屋もあれば階段をのぼっていく物見塔もある。
塔から街並を見渡す。
裏側に回り込まないと発見できない作品があるらしい、と探す。
1Fと2Fでは、まったく違う空間と作品が出現する。
この、ちょっと懐かしい「街」を、
その時居合わせた他の観客と一緒に体験する。
という意味では、テーマパークのようだ。

奈良さんの作品は200点以上、新作ペインティングが15点。
「Eve of Destruction」のように新境地を見せるペインティングと、
2階の立体作品、暗い海に漂う「Puff Murshy」が印象に残る。
そのほか私の印象に残ったのは、初期からの、
あまり発表されていなかった作品群を集めた部屋と、
「Doors」と名付けられた、小さなドアの向こうにそれぞれ違った
小さな空間の広がる5つの部屋が並ぶ小屋。
『鳥への挨拶 ジャック・プレヴェール詩集』の色校ページに、
さらにドローイングを描き加えた部屋。
プレヴェールとのキャッチボールでできた画面に、
またさらにキャッチボールをしているような感覚がおもしろい。

そしてなんといっても、ゲストアーティスト10人の作品が、
奈良+grafの世界に深みと広がりを与えている。
杉戸洋さんの1枚のペインティングは、
ある意味でA to Zの元となる世界観を示しているようだ。
閉じられた部屋の中に広がる、大きな世界。
ヤノベケンジさんの「青い森の映画館」は、
以前に森美術館で展示された「森の映画館」の焼き直しかと思ったら、
全然違う作品になっている。映像を全部観て感動した。
ヤノベさんのお父さんが出演しているのだが、
2人の孫息子たちに語りかける言葉がユーモラスながら胸に迫る。
三沢厚彦さんの動物たちは、文句なしにこどもたちの人気者。
思わぬ場所に猫やコウモリがいたりして楽しい。
川内倫子さんの写真のスペースは、
小屋巡り前半で疲れた眼と感覚に癒しを与えてくれる。
人間、動物、もの、すべてに対するまっすぐで優しい視点。
・・・・・・

世界をすべて見ることはできないし、把握することはできない。
そんなもどかしさと切なさを感じつつ。
こんな展覧会が実現したことに改めて驚く。
奈良さんがいなければ実現しなかったけど、
彼だけでも実現しなかった。
奇跡、とどこかに書いたけど、意思の力でここまで多くの人が
一緒に大きなものを作り上げることができる、
参加した人たちはかけがえのない体験を得たのではないだろうか。
いまだにきちんと整理して書けないでいる私は、
何なのだろう?と考え込んでしまう。

数日前、テレビ(NHK「高校講座 美術」)で
会場が写るのを一緒に見ていたRQがニコニコと、
「おうち、行ったね、きのう」。
え、ちゃんとわかるんだ!?と驚きつつ嬉しかった。
彼にとって、過去はすべて「昨日」という言葉で表されるらしい。
なんだか一番シンプルで的確な感想のような気がした。

さて、なかなか整理はつきそうにないですが、
A to Zについてはまた改めて、書きたいと思います。

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コメント (2)

はじめまして!なっちと申します。
A to Zのくのいちレクチャー、楽しく拝見させていただきました♪
皆さまプロとしてアートに関わっていらっしゃるのに、レクチャーでは小屋追っかけ=ただのファンとしてのテンションで話されていたのがとても面白かったです。
看視ボランティアとして何度も会場に足を運んでおり、時にはA to Z空間の大きさ・驚きを忘れそうになってしまいます。
素敵なレビューを読んで初心を改めて思い起こすことができました。
ありがとうございます^^
RQ君とロッキングチェアーとってもかわいいです☆

こじまやよい:

なっちさん、
ありがとうございます。
レクチャー楽しんでいただけて良かった…
ボランティアお疲れさまです。
会期中にまた行きたいと思っています。
そのときはお会いできるといいですね。

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