小島やよいのアートママ奮戦記

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ヨオロッパへゆきたしと思へども

ヴェネツィア・ビエンナーレのヴェルニサージュ、始まりましたね。
続いてバーゼルのアートフェア、カッセルのドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクト。
と、重要な国際展が次々と始まります。バーゼルは毎年やっているけれど、
ヴェネツィアは2年に一度、カッセルは5年に一度、ミュンスターは10年に一度の開催。
なので、今年は10年に一度の大アートイベント年!なのです。
10年前にはもちろん、これ全部に行ったし、カッセルは3回、ヴェネツィアは1990年から
前々回(2003年)まで毎回、建築ビエンナーレにも行った年があるし、
かなりカバーしてきました。

と、いうのは独身時代の話。

今は経済的にも時間的にも、行くのは無理。
こんなことになるとは…と、ほとんど空っぽになった東京アート界で
取り残されたような気分になっています。
経済格差イコール情報格差、アートは実際にこの目で見て、体験したかどうかが勝負、
といったところがあり、
その意味では負け感が非常に強い、この3年間。
「見に行かないなんて職務怠慢じゃないですか」
とおっしゃる方もあり、怠慢か…そうか、失格か…と落ち込むのです。

セレブでジェットセッターなフクヘンにも、
すご早!でフットワーク軽いみやむーにも、
じぇんじぇんかないましぇん。

RQを育てることが今は一番大事なんだから!
と、わかっているし、さんざん自分に言い聞かせていますが、
挫折感と焦りはどうしても払いのけることができない。
いや、きっと、仕事と育児を両立させている人は、
多かれ少なかれこうした思いを抱えているんじゃないかと思うのです。
そして、自分が仕事を続けることの意味を考えて葛藤する…。
でも私の場合、こどものせいでも夫のせいでもなく、あくまでも自分自身の問題。

3ヶ月くらい前までは、「ママはお仕事だから」と言うとあきらめていたRQが、
今は「いやだ、ママお仕事行かないで」と食い下がる時があります。
そんな時に、なぜ仕事に行かなきゃいけないか、きちんと説明しなきゃならない。
「ごはんやおやつを食べたり、RQのおもちゃや絵本、服を買ったり、
一緒にお出かけしたりできるように、お仕事してるんだよ」というのが第一義ですが、
「それでね、ママお仕事の人と、今日行くってお約束したの。
 約束は守らなきゃいけないんだよ」
と言いながら、ああ原稿の締め切りを破ってるなあと胸が痛んだり。
そんなふうに、こどもと会話しながら、自問自答しているような時があるわけです。
で、この仕事がなぜ大事かは、だいぶ煮詰めることができてきました。
お声がかかって、お役に立てる限りは、誠実に務めたいと思っています。
そして私が経験や、いろいろな人との出会いから得たものを、還元していくこと。

たぶん、負け感とか挫折感とかを経験することは、悪いことじゃない。
そこから得ることがきっとあるはず。

RQをバギーに乗せて、夏の夕方、保育園からの帰り道。
公園の横を通りかかって、ふと、ヴェネツィアの、ジャルディーニからアルセナーレに
抜ける公園の道にトリップしました。2年前のことです。
強い日差しが和らいで、木々の緑からこぼれる光。
夜の闇に向かう前の、切なくなるような匂い。鳥のさえずり。
ベンチにはもう、誰も座ってない。
それはもう、記憶が鮮やかによみがえって、立ちすくんでしまいました。
ああ、またいつか行けるかなあ。

ドイツやスイスは白アスパラガスが美味しい時期。
そしてヴェネツィアは…ビエンナーレという大舞台での高揚感はもちろん他にはないもの
なんだけど、まず街自体の魅力には本当に抗いがたい。
いい思いをたくさんさせてもらいました。
駒込の小さな公園からでもトリップできるんだから(笑)、
私の中にしっかりと根付いた場所なのです。
そういえば、パリの朝の空気も、いつでも思い出せる。
だから大丈夫。
と、自分に言い聞かせつつ、思いを馳せるのであります。
ヨオロッパは遥かに遠し…。

先日、作家のSさんに偶然会ったら
「まあ10年後に行ければいいんじゃないかと思ってます」。
そうですね!10年後に。行きましょう。

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コメント (3)

6年前、初めてヴェネツィアビエンナーレに行ったときも、4年前も、こじまさんにはお世話になりました。
子育ては、今しかできないし、もっとと思っても、子供はすぐに大きくなってしまうものですよ。大変だとも思いますが子育てを楽しんでください。
きっと、親子でヴェネツィアに行かれる日も来るでしょう。

こじまやよい:

鈴木さん!ありがとうございます。
お世話なんてとんでもない!いつも失礼ばかり…すみません。
おっしゃるとおり、こどもがベタベタ甘えてくれるのもきっと、今だけですよね。
ちょっとしょぼんとしてましたが、ほんとはそんなこと言ってる場合じゃないっす。
イタリアお疲れさまでした!
またいろいろお話を聞かせてください。

あさひな:

お久しぶりです。
うう、胸が痛む思いで読みました。
「現場第一」「仕事第一」と思うと何でも自分の栄養に結び付けてしまい、結局は「自分第一」。ゆえに家庭なんて持つイメージすらわかない。
それなのに、取材を進めていくごとに、話を聞いた人たちに触発され、「自分らしく生きていくこと、生をまっとうすることってなんだろう」って思ってしまう。「愛」とか「触れ合い」が二の次になっていて、人に何かを伝えられることができるのかしら、と落ち込んだりすることも多々あります。
結局は、家庭も仕事も思い通りにやろうとすると無理があるということなんでしょうかね。
いいタイミングでお子さんに恵まれ、すぐに復帰されて活躍されているこじまさんを見て、うらやましいなと思う反面、やはり最先端を走っていらっしゃるだけに動けないと、はがゆい思いもひとしおなのだろうなと。
きっと、今の状態を脱したときに「あのときがあってよかった」と思えるのでしょうね。
仕事も子育ても大変だとお察ししますが、体には気をつけてくださいね。
エココロもくらたまも、いつも楽しく記事を読んでいますよ~。

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