小島やよいのアートママ奮戦記

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バリー・マッギー、蔡國強。6月の出会いに感謝。

ヨーロッパのアートイベントには行けないけど、
6月は東京に居ながらにして、アーティスト魂を、パワーをもらえる出会いがあった。
バリー・マッギーはワタリウム美術館で開催中の個展のために来日。
(9月30日まで。http://www.watarium.co.jp
5月末にインタビューして、6月2日のトークを聴きに行った。
(発売中の『Tokion』8月号に記事を書きました。)

蔡國強の公開制作については、先にも書いたが、
あくる日にインタビューをさせてもらった。
展覧会「時光 ー蔡國強と資生堂」は資生堂ギャラリーにて、8月12日まで。
http://www.shiseido.co.jp/gallery/html/

バリー・マッギーとは6年半ぶり!
2000年にLAのUCLA HAMMER MUSEUMで、
今は亡きマーガレット・キルガレンとの2人展を観た。
グラフィティのことはあまり知らなかったが、
奈良美智氏からの強力なリコメンドがあったのだった。
そして初めて観た作品に完全にノックアウトされた感じだった。
その後、展覧会のために東京に来た彼と、奈良氏との「お絵描きインタビュー」
(バリー+マーガレット展の会場、Alleged Tokyoで、壁に絵を描き合ってもらい、
合間にインタビューするという企画。『スタジオボイス』誌。)で会う。
お互いリスペクトし合う2人の会話はほのぼのと、筆の動きはエキサイティングな
忘れられないコラボレーションになった。

展覧会のオープニングでは、『流行通信』誌で連載していた
「こじまやよいのアートパラダイス」のためにチェキ!写真も撮らせてもらい、
ドローイングを描き込んでもらったりした。
グラフィティ・ギャング、という呼び方は全然そぐわない、
ジェントルで真摯なナイスガイ、という印象のバリーは、
ギャラリーの外でサイン(タグ)を求める日本のキッズたちに、
延々と、ていねいに接していた。
それからパルコギャラリーでの3人展をやったり、2001年にはヴェネチア・ビエンナーレで
アルセナーレ会場に出品したり、プラダ財団で個展をやったりと、
アート界でどんどんビッグになっていったバリー。

パートナーのマーガレットが癌で亡くなるという悲しいこともあったが、
久しぶりに会ったバリーは全然変わってなかった。
インタビューに訪れた時は、まだ展示を始める前、作品が梱包されたまま置いてあったりして、
それもまたドキドキする空間だったけど、
オープンした展示を観て、またノックアウトされた。
ダイナミックなスケール感と、緻密でデリケートな絵のバランス。
ストリートのスリルを持ち込んだインスタレーション。
すごい展覧会だ。

そして、インタビューとトークで聴いた言葉が、心に刺さった。
「グラフィティが害で、広告が害じゃないのはおかしいと思わない?」
「消費するだけの人間が多くなってしまったのは悲しいことだと思わないかい?
僕はそんな人生、心地いいと思わない。ブランドのロゴが付いた靴を高く買うとか、
そんなの人生の目的でも目標でもないはずだ…」

その変らないパンクなスピリットに、目を覚まされた思いだ。
(詳細はぜひ、『Tokion』誌をご覧ください!)
今のパートナー、ペギー・ハネウェルと、娘のアーシャ(マーガレットの忘れ形見)と、
幸せな暮らしをしているようで、よかった。
ペギーは次の日にライヴを行い、私は観られなかったけど、
CD「PEGGY HONEYWELL: GREEN MOUNTAIN」を聴いて満足。
greenmountain.jpg
ペギーはミュージシャンでアーティスト。ジャケ絵は彼女自身によるもの。
この写真の2人の後ろ姿、いいなあ。


そして蔡さん。
上海APECとか、北京オリンピックとか、国家プロジェクトに関わる彼ならではの言葉。
「権力は、この作品をつくるのに必要、というときだけ使って,後はなるべく離れる。
一度使うと離れられなくなる人もいるけど、私はアーティストだから、権力より、
どんなすごい政治家より、力があると信じなければならないですよ。
今日,たいしたものが作れなくても、明日にはできる可能性がある。
アーティストには夢があるんです」
圧倒的に美しい、資生堂ギャラリーの展示。
「私、上手でしょ?展示」と笑っている。
(こちらは7月10日発売の『Invitation』誌でぜひ!)

こうして、アーティストから、心が震えるような話を聞ける。
作品の制作現場や、展示の現場を見ることができる。
そんなとき、この仕事をしている幸せを噛みしめる。
そのチャンスを与えられたことに感謝する。
そして、アーティストの言葉を、作品を、できる限り誠実に、
一人でも多くの人に伝えなければ。
そう,思うのであります。

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